愛の詩人・上手宰と「冊」の詩人からの伝言/服部 剛
 
くのだ


 最後の連で(忘れ物でない死などどこにあ
るだろう)と語りかける言葉があるが、人間
は、忘却の生き物である故にどんな「死」も
大なり小なり人の記憶から薄れてゆく。それ
でも、この詩の中の(電車に置き忘れた骨壷)
のようにもう一つの詩的次元の世界の中で誰
かの「死」は密かに、いつまでも生きている
ことを、この地上で出逢った人の想い出はい
つまでも消えないことを、「忘れ物」という
詩はそっと語りかけるような気がした。 

 二篇目に読んだ「光の旅」は、多くの優れ
た詩を書いた上手さんの詩の中でも代表作と
感じる素晴らしい詩である。 


  星の光を
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