愛の詩人・上手宰と「冊」の詩人からの伝言/服部 剛
 
ばれていくのだ
  生きていたとき
  車中で眠り込み、もう起きたくない
  このまま帰らぬ人になってもいい
  そんな幸せな死を夢見た人がとうとう
  その夢を果たしたようだ


 「骨壷」というと普通は重い印象を与える
が、この詩の中では不思議な幸福感さえ感じ
る。


  もう駅の名前を知ろうと
  きょろきょろしなくていい
  もうあなたは、どこで降りなくてもいい
  遺族が置き忘れたのではなく
  あなたは自分の意志で
  そこに座っているように思えてくる
  うたた寝しながらあなたは
  一度も行ったことのない遠くへ行くの
[次のページ]
戻る   Point(2)