レールウェイの先は霞んでいる/竜門勇気
 
に緩衝エーテルを室に詰めてたの。だからまだ目に見える内に凍った時間があらわれたそうよ」
まだそこにいるように見えて もうとっくにはるか彼方へ進んでいる
あたしはだれかに 今 本当にここにいるって わかってもらえてるのかな
あたしは 思うことで あたしを信じられるけど

見せ掛けの重力(ニセG)が消える時も また ベアリングはギギ と鳴いた
不可能性ドライブ(ハッピャク)が駆動を開始して 低くて心地いい持続音が聞こえてきた
あたしはまぶたの裏の光の粒を見つめながら 止まっていく時間を感じてた


あたしの個室が走るレールウェイの少し遠くには もう一つの亜光速路線がある
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