陽炎/柊 恵
 
の中で私には二人の娘がいて、
下の娘は、まだ5才くらいで、
おそらく助からない。
消え往く命を見守るしかできない。
こうして目が覚めても悲しみが止まない。

妻もまだ寝てる。
早いけれど、起きてパソコンに向かった。
ニュースとか見ていたら、呼鈴が鳴った。
小林さんだった。

「おはよう。紅実を起こしてくるから、…あ、PC使ってて良いよ」
「あ、いいです。紅実ちゃん起こさなくても。ちょっと早く来すぎちゃった」
「別に構わないけど、朝は食べてきたかい?」

元気無く首を振る。

「ご飯と納豆で良い?今、目玉焼き作るから」
「ありがとうございます」

ものすごい勢
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