陽炎/柊 恵
 
い勢いで食べ始めた。

「おかわりする?」
「すいません…」
「遠慮いらないから。育ち盛りだもんね」
「お父さん…」
「どした、泣きそうな顔して」
「昨日の夜から、何も食べてなかったんです。悪い子だからって…」
「なんだそれ?酷いな」
「お父さん、優しい…」

小林さんは、ポツリと話し始めた。
まだ自分が小さな頃に両親が離婚したこと、
小学生の頃にお母さんが再婚したこと、
ちょっとしたことで継父は腹を立てて、怒鳴りちらすこと。
罰としてご飯をもらえないこと。
いろんな罰が有ること…。

多感な時期を、何て残酷な。
悲しい。
この子を地獄から救わないとならない
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