陽炎/柊 恵
父さん」
声を揃えて、お面を私に差し出す。
白いお面の目が光る。
「うゎぁっ!」
今のは何だ。
嫌な汗をかいて飛び起きた。
階段を降りると紅実が居間にいた。
「おはよう」
「あ、お父さん、おはよう」
「珍しいな、早起き」
「文化祭の制作があるの。美術部の」
「こないだのお友達も?」
「うん。小林さんも美術部だよ。…私、あの娘ちょっと苦手」
「いい子だと思うけどな」
「すごく好き嫌いが、はっきりしてるのょ。あれは敵を作るね」
「女の子は難しいなぁ」
「なぜか私に、なついてんだよねぇ…」
そろそろ出勤時間だ。
靴を履いてたら、戸が
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