陽炎/柊 恵
 
がしないの」
「じゃあ、同じだね」

可愛いらしく笑う。
(あぁ、やっと会えたね…)

「もっと話したいけど、仕事行くね」
「はい。行ってらっしゃい、お父さん」

晴れ々々とした気分が広がる。
同時に思う。
俺、なんで初対面の中学生の女の子と親しく話してんだろう?
しかも娘の友達と。おかしくないか?
けど、胸に広がるこの感覚は何だ?
嬉しくて涙が出そうなのは。



背景が真っ白な空間、小さな姉妹が仲良く遊んでいるのが見える。
お面を着けたり外したりして、笑いあって。

「二人とも、それは お父さんの大切なお面だから、触ってはいけないよ」
「はい。お父さ
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