すべて取り違えてみた声と体/水町綜助
 

僕はのどの奥からコポリとひとつかみの気泡をだす
ひしゃげて
たわんで
昇っていく泡が
体中に
気泡がついているようで
きもちいい
そりゃあかげりある東の壁は
当然汗をかいているでしょう
あすの朝をまちな

僕、亀裂走ったビルの裏側を眺めて
僕、晴天の夕立に埃舞う
ぼた 音もなく土煙
ぼた 音もなく土煙
ぼたぼたぼた 土煙
ぼたぼた ぼたぼた
もう音しか聞こえない
今日は一日雨なんか降らなかった



あれどこにしまったっけ
あれ、



稲妻が見えて
音が鳴らなかった山村
水田の中央で
ヤマカガシを見た
黒い体に赤いハンテン
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