すべて取り違えてみた声と体/水町綜助
夏の日が薄紫色に
透けて近いので
君になにかを書きます
花が開いては
落ち
黒い道路を汚しては
それをふまないよう
ふまないよう
すこし飛ぶように
歩き
振り向いたなら
季節はもう見えないでしょうし
さみしかったなら
それが季節の名残でしょうか
それとも体温の名残でしょうか
脱ぎ捨てたセーターを
うつぶせに
その匂いを胸一杯に吸い込む
なんて言いながら
僕はセーターなんて持っていないから
その午後は全てでっち上げの15:30でした
西の窓から
乾いたビールがなみなみと注がれて
天井まで満たしていく
、ドプン、。
と耳の中に音が聞こえて
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