文法について 2/パンの愛人
 
のメモは何となくではあるが一応意味が通じているので、実際の業務に支障をきたすことはなかった。しかし、これも場合によってはどうであったか分からない、非常に危ういものである。
 だが、それよりも私がここで問いかけたいのは、率直に言ってこれが「言葉の豊かさ」に由来するものなのか、ということである。私はむしろこれは「言葉の貧しさ」の結果ではないかと思うのだが、如何だろう。

 それでもなおA君のメモを積極的に肯定するひともいるかもしれない。私は、それがただの不親切をつぎはぎの知識でつくろったようなものでなければいいと思う。
 つまり、もっと純粋に文学的興味からA君のメモにアプローチすることもできる
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