こころを一生懸命たたいてくれる詩集 河津聖恵 『神は外せないイヤホンを』/イダヅカマコト
いに目覚め
神の手のひらが開いていく紙の 皺をそこここに感じ取る
薄紅の湖のさざなみや
常緑の螺旋きらめく山なみ
黄金のカワマスが 未来という次の一瞬を跳ねる
よこたわる私は 全身の血の紅さを農婦のようにかんじとり
そよぐ言葉の苗を植えまどう
「平和」の反意語でなく
言葉ですらない戦争とは透明な機械 主のない憎悪が
眠る私を 星の裏側からカナシバリにして
人質にしてしまう 詩人のような人質にしてしまうが
夢が尽きるまで植えまどえ}
この詩のなかで、
「真紅の湖」
「緑の螺旋きらめく山なみ」
「黄金のカワマス」といった色の中におかれる
色すらいらない「透明な機
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