通奏低音/とうどうせいら
 


にんげんになって
あなたに
ちかづきたい

甘いことを
いっぱいしよう
しあわせ っていうのに
なりたいの
もちろん
ふたりでなるんだ

しあわせ になったら
もう誰もどこへも行かないし
ずーっといっしょ

*

ぼんやりしてきた

手が痺れて
これ以上岩にしがみつけない
爪が海松色のぬるぬるで
滑る

せっかく上がってきたのに
湖の中にからだが
引き込まれる
重い

ダブン

*

朽木が
チャコールグレイの
けむりを
吐き出しながら
沈んでいるのが見える

圧力が
浮力が
どんどんからだを押してきて
なに
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