通奏低音/とうどうせいら
 
なにかはぜる音が
かすかに聴こえるけど
目が開かないよ

髪についていた
真珠色のあわ達が
一斉にわたしを蹴って
上昇していくんだ

海の獣はみんな荒々しくて
わたしのからだを
裂こうとするよ
水底は
通奏低音が
ずっと続いているの
うねるように

*

あなたにあいたいな
あしたは
岸よりも向こうへいく
岩浜へ出るの


あえたらいいな
こえを聴きたいな
てを
つないでほしい


もしあなたが
人魚がきらいになっていた時は
さようならって
言われてみたい

あなたを
ちゃんとすきになって
おわかれをしてみたい

それ
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