永遠に帰するポエジー 〜蛾兆ボルカ「はちみつぶた」について〜/白井明大
 
の箇所で、進行する時間の流れの外に、詩の流れが抜け出る効果が生まれている。

以後、時間の流れから抜け出た詩の流れは、最終連ではちみつぶたが現出するに及んで第二の効果を放つ。以下、最終の二連を引用。

 そして私は見たのだった

 はちみつでできた
 透明のぶたを
 子供たちが
 歓声を上げながら
 追いかけていくのを

夕飯のおかずとして話題にのぼっていた「はちみつぶた」は、夕方の公園に現れることになるが、幻想性より、子どもの神性より、時間の流れから外れた場所で起きる「おかず」→「幻獣」という、はちみつぶたの実体化を支えるものが上記した「時間の流れから抜け
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