教育について/パンの愛人
 
た二人の人間による相対的な関係の空間においては、どちらが正しくどちらが間違っているかはついに決定することができない。これは教師と生徒だけにかぎらず、医者と患者、看守と受刑者などでも同様の事態が起こりうる。
 絶対性とは非文脈性のことである。それは、どのような意味においても対立するものが存在しない。したがって、それを踏まえたうえで、「教育において絶対に正しいものがない」というのであれば、それは私にも充分うなずける意見である。

 しかし、ここで奇妙な事態が起こる。渡邊氏は「教育レイプ」における加害者(教える側)と被害者(教わる側)という図式をたて、被害者の救助に熱心であるが、ここまでくればわか
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