教育について/パンの愛人
 
因を求めることも可能だろう。いずれにしろ、そのような先入見をみずから是正したいという欲求が、私たちの間にそんなに都合よくあらわれてくるものだろうか。

 最近、日本にも格差社会が到来するといったような話をよく聞くが、それには教育の機会の不平等という問題も孕まれている。渡邊氏の論旨は、その不平等を結果として肯定することになりはしないか。学ぶ意志のない人間にたいして、たとえそれが社会的な義務であろうと、教育をほどこすことは、当人の理性を尊重していないという理由で、許されない行為になるのだろうか?




 渡邊氏は「わたしにとって正しいことと、相手にとって正しいことは、ちがう。言い換え
[次のページ]
戻る   Point(3)