映画日記、ただし日付はてきとう3/渡邉建志
 
ところだと思う。オメロ・アントヌッティは僕にどんなに深刻な悩みを感じ入らせ、どれだけ僕はその夜に悪夢を見せられたか。それは、「エル・スール」における演出と演技が、寡黙であり、その寡黙さのなかから彼らの悩み深さをわれわれのほうから主体的に想像せざるを得ない状況に置かれるからだ。ベルイマンの冬を舞台にした神の不在シリーズの演技・演出の過剰と比べられよ。映画日記1参照。/「ミツバチのささやき」。子役二人の演技の自然さ。特にアナ・トレントは演技していない。存在しかしていない。「エル・スール」のエストレリャ役二人もやっぱり「存在」だし、エリセ作品は、なにか大切なものを大袈裟な「演技」で潰さないように繊細に作
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