自分を見つけてしまう色分けされた世界 書評『流砂による終身刑』/イダヅカマコト
 
作られ方の砂時計に砂が積もるような静けさ。

「子供の色」とされている青や赤や黄や紫の光は、今の自分の頭の中でちらついているような気にさせられます。

ほかにも、『風化石』という詩のフレーズ

獣にはみな角がある。
そのへん神によく似ている。
獣は柵の内側にいる。
そのへん私に
酷似している。


はどことなく宗教の一番根っこの部分をイメージさせてくれますし、

『銀水録』の中で「美しい模様、形、色、/じわり染み出る感情、平和、濃淡、真偽、/金属質なら何でも映せる。」という会話を表す以下のようなフレーズを見ると私は人の心まで見えるような気がしてしまいます。

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