自分を見つけてしまう色分けされた世界 書評『流砂による終身刑』/イダヅカマコト
 
追い掛けたのは私の裏声
季節がひとつずれている。
寝過ごしたのか眠り忘れか
体はもう
鳴り止んだのか。}

一番最後の連で「犬」や「家鴨」や「こおろぎ」や「ギンヤンマ」といった動物達の名前が出された後、それらの動物が動き回ります。

私はこれらのさまざまな言葉が、語り手の「大方見つめる必要もなく/死別した夢」なのだと想いましたが、人はいかに多くのものに囲まれてすごしているのでしょうか。

それ以上に一連目の「午後/部屋の暗がりに/ビーズが降っている/いつの 午後だか/晴れて儚い季節の午後に/子供の色で/降り積もる/暗がりの方へ流れていく。」
と描写される、恐らく「記憶」の作ら
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