自分を見つけてしまう色分けされた世界 書評『流砂による終身刑』/イダヅカマコト
 
方へ流れていく。

それを追って首を差し入れ
見えた眺めで
記憶をなくした。
ひそかなねじれに身を任せた。
一回
さらに半回
ねじれ
降るビーズに素顔をさらす。

青に赤に黄色に紫。
子供の色が降りやまない。
天井手前に浮かんだ顔は
白い光の点の集まり。
しかしピントが合わせられず
音に記憶が満たされ
埋もれ
やがて光は呼吸を止めて
子供の匂いに世界が染まると

大方見つめる必要もなく
死別した夢
走馬灯に
映るものは犬 大鷲、
家鴨 こおろぎ ギンヤンマ。
影絵を作った手を裏返せば
窓の外に 犬の鳴き声。
やんまが横切り家鴨が騒いで
追い
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