二千九年、LOVE/捨て彦
く思ッていないだろうな。まぁ、面と向かッてそんなことは云わないけどサ」
「… ……」
「ハハハ、嫌々、気にすることは無い。芙蓉ちゃんが何も云ッていないなら、そういうことなんだろうさ。何も君が気に病むことは無い。イヤ、すまんかッた。僕も飲みすぎて少し口が滑ッたようだ。ほら、気分直しに君も沢山いきなよ?」
此の恒例の会合の場所となる古びた小さな平屋は、元々は他人の、もう十年近くも前に住んでいた老人の所有する物であッたが、或る日其の老人が行方を眩ました。丁度其の頃、平屋の近所の河原で頻繁に酒盛りをして居たのが、伊藤やナンシイを含む五人ほどの仲間で、そう云ッた縁で老人とは顔だけはお互い見知る関係であ
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