二千九年、LOVE/捨て彦
 

ナンシイが横目で橋田を見た。橋田は中中千切れないサキイカと格闘の最中だッた。
「橋田さんッて、この会合に何時から加わッたんでしたッけ」
「… ……」
「…また怒ッた」
「スミマセンッ」
「あれだろ。たしか若菜が連れてきたんぢゃないか」
「ア、そうだそうだ、思い出しました。そうだ、若菜君が連れて来たんだッたね。懐かしいなァ。モゥ、あの人ともメッキリ疎遠になッてしまッた…」
「今でも若菜とは連絡あるのかい?」
ナンシイが俯いている橋田を覗きながら云ッた。
「… ……いいえ。」
「そうか。まァ、もう日本を離れて大分と経つからなァ。色々と忙しいんだろうさ。もう僕らとはまるッきり住む
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