二千九年、LOVE/捨て彦
住む世界が違う様に成ッちまッたなア」
「玉に電話をかけてみた事もあッたが、全く繋がらないしね」
「伊藤君はInternetで若菜と連絡をとる事はできないのか?」
「彼自身がSNSなどを利用する事が無いんだよ。メイルしても返ッてきた例が無い」
「オイオイ。死んでなきゃ可いがね」
橋田は遠慮がちにナンシイと伊藤の顔を少しずつ見た後、おもむろに手の中のCocktailを飲み干す。
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既に酒の肴が彼らの囲むTableに散乱している。サキイカ、赤貝、柿ピイ、サラミ、かまぼこ、貝柱、カワハギ、蛸ワサ、えとせとら、えとせとら。肴は各々此れで十分だッた。素より安い舌から始まッ
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