二千九年、LOVE/捨て彦
、人が多いと云うのは其れだけの人間模様が張り巡らされていると云う事、此所には会合以外でも一つの宿として使う者が多く、そうなれば矢張り生活する人間、玉に女連れと鉢合せする事もある、部屋には少しづつ色々な物が増えてくる。十幾年の歳月は記憶と雑貨を少しずつ増やしていッた。
「そろそろ…、エー、アァ、もう十年以上経ッているんですね、そう云えば」
「あ、もうそんなになるのか。ヘェ、そりゃ、物も増える分けだ」
「十年かァ…。皆年をとりましたね」
「アハハ、止めろよ、そんな云い方。僕らがトンでもない老人に成ッてしまッたようぢゃないか。」
「… …」
「橋田も何だかんだで長いよな、此所に来てから」
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