二千九年、LOVE/捨て彦
る橋田端子と黒田ナンシイもこの会合が縁で知り合ッた仲間である。
「伊藤君遅いぢゃないかァ」
伊藤が扉を開けるとナンシイが鼻炎混じりで振向き云う。
「すまない、仕事が長引いてね。他の皆はまだかい」
橋田がいつも通り無言でサキイカを頬張ッている隣でナンシイが携帯を抛り投げた。
「僕はもう出来上がッてしまいそうだよ、気になるんなら自分で電話し給え。彼女に連絡してみてはどうだい?」
伊藤は酒で濡れているナンシイの携帯で芙蓉に電話した。
「もしもし、今何処に居るんだい?」
「もう近所迄来てますよ。今一寸Convenience storeで飲み物を買ッてるんです。何か買ッて行きましょうか?」
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