むささび 渡る/Giton
 
野原に 駆け惑ふ君かも

     ☆   ☆

葛飾の 真間の浦回(うらま)に
そよぎ渡る 秋風に乗り
吹き寄せね吾が背

    ☆    ☆

夕迫(さ)れば 雲井波立つ 蒼海に 
暮れしづむかも 消ぬる残り火

    ☆    ☆

われはそも 野辺の月草 摺らゆとも
思はぬ人に 染むことあらめや

    ☆    ☆

谷深く 森繁けれど
径のへの みやまかたばみ 
木洩れ陽に咲く

    ☆    ☆

にほどりの 葛飾の野に 霜おけど
八幡の宮に 人の絶えなく

    ☆    ☆

葛飾の 八幡の宮に
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