人魚・終 〜開放〜 【小説】/北村 守通
もいいんです。」
私は蝋燭を自分の顔の前にかざすと、その様子がよくわかるように彼女を私のすぐ隣に立たせた。
「放してやればいいんですよ。」
私は大きく息を吸い込むと、丁寧に、しかし力強くそれを目の前に注いだ。真っ黒な芯が私の目の前で剥き出しになり、そして世界が真っ黒になった。
「何処に行ってしまったのでしょう。」
震える声で彼女が問うた。
私は振り返らずに指で指した。
「ばらばらになってしまったから判りませんが。あれかもしれないし、もしかしたらあれなのかも。」
漆黒のキャンバスでは、光のかけら達が、決して輝きを失うことなく瞬きを繰り
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