人魚・終 〜開放〜 【小説】/北村 守通
むいて何度も首を振った。
「この灯は、この灯は!」
続かぬ言葉の先を私なりに察した。そして躊躇したけれども、勇気を持って彼女の肩に手を置いた。
差し伸べた手を彼女が握った。
やはり私のほうが冷たかった。
「この灯は決して呪われた灯なんかじゃぁありません。この蝋燭も心を救うために生まれた、やはり優しい蝋燭なんです。そして火を灯しては泣いていた。涙の代わりに火を灯し、大切な人を救えなかったことを今までずっと嘆いていたのです。悔やんで、悔やんで悔やみきれなくて、どうしてよいか解らないままでいたんですよ。」
空は待っていてくれた。
「だから、消すだなんてことしなくてもい
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