人魚・3 〜対話〜   【小説】/北村 守通
 
いたが、やがてそれは私の濁った硝子球に向けられた。不慣れな私は血液の逆流を感じ、耐え切れなかったので、おもわず視線を逸らした。
 幸い、彼女は察してくれた。そして風が吹いてきたこと、これから嵐になるかもしれないことを理由に、場所を移すことを提案した。ずぶ濡れになってしまった私は暖もとりたかったのでその提案に従った。



 蝋燭は

地上にあっても変わることなくゆっくりと輝いていた。むしろ、それが本来あるべき姿だったので、私は自分がやはり夢を観ていたのではないかと思ったが、析出し付着し始めていた塩の結晶がその考えを否定した。
「ここ」
沸騰した液体をカップに注ぎながら彼女は続けた
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