手紙/依
「信じる」と聴こえたその日から
僕は存在するようになった
けれど
心というものはやっかいなもので
そういうものを持つと壊れてしまいやすくなる
そうやって君はだんだんと笑わなくなった
僕もずいぶんと色褪せていってしまった
それでも
「ひと」というものの
想いの熱さや激しさ
美しさ
そういうものから生まれた「僕」は
「君」を愛しいと思わずにはいられない
僕を創ったのは君なのだから
今、この場所から見える世界は
少し寂しい色をしているよ
今の君から
僕の顔は見えるかい
僕の掌から零れてしまっ
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