Erika/結城 森士
 
「ねぇエリカ、なんでお母さんは怒ったの?」
「さぁ。全然分からないわ」
「ねぇエリカ」
「なぁーによ」
「なんでもないや」
 ジェフは黙ってしまった。窓の外は蒼ざめた月がぽつんと浮かんでいた。
 エリカはふとさびしくなってジェフを抱きしめた。ジェフはワニのぬいぐるみだった。エリカは小さい頃からジェフのことが大好きだった。
「ねぇジェフ?」
「なんだい」
「なんで人は、みんな、いつかお別れしなきゃいけないの」
「なんでだろうね 僕にも分からないよ」
 誰にも分からないと分かっていた。それでも聞かずにはいられなかった。
 二人はいよいよ黙ってしまった。風が寂しそうに夜の窓をたた
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