お米の国の人のすがたとはなし 〜写真展「田園ドリーム」ノート〜/白井明大
本の農業の問題点を論じるつもりも、民俗学の知識を継ぎはぎしてわかったようなことをいうつもりもない。
ただ、田んぼに通い若い農家と話をした1年だった。
(中略)
田植え後、無農薬の田は何とも頼りない。慣行農法と違って、苗の距離があり、苗の数も少ない。しかし、ひ弱にみえる苗は栄養たっぷりの土の中、日が経つにつれ、たくましく育つ。栄養満天の土は田の植物にとっても条件が良く、雑草も生えてくる。しかし、条件の良い田は土が軟らかい。石津さんの田で触らせてもらった土はとろとろの触感だった。稲は根を深く張り、とろとろの土でもすくすくと育つ。雑草は根を張ることができず、やがて浮き、枯れてしまう。(中略)石
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)