クロスレット・シルバー /いすず
い髪のきれいな顔の女性に向って話しかけていた。
「よかったら、墓守いっしょにしませんか。お姉さまにもきっとおがんでいただきたいって、彼女思ってると思うんです」
「そうなの、羽鳥?」
羽鳥がこっくんとする。
「だめといったじゃない」
「お姉さまがついてらっしゃれば、心強いし、羽鳥さんももっと安心できますし。僕、用心棒になりますから」
そうして、千尋はじぶんのさげていた銀のクルスを首からはずし、羽鳥の手に握らせてやった。羽鳥がぎゅっと握った。
「この子の気持ちが、よく分かるの?」
「よくは分からないけど、おなじだと思うんです」
姉のふしぎそうな眼に千尋がいうと、羽鳥がクルスをたいせつ
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