試験中の情事/木屋 亞万
よく耳にする話題ではあるが、真剣に鉛筆で背を擦られるというのは、情熱的な愛の告白に似た高揚感を私たちにもたらすのではないだろうか。実際、自分が擦られている姿を、鉛筆の音から想像していると中々素晴らしい行為であるように思われた。
徐々にではあるが、背中にムズムズと痒みを伴うようになってきた。それは、鉛筆の音を受けて行った脳内妄想による身体の反応だった。相変わらず皆の真剣な排泄行為は、とどまることを知らない。排泄行為とは本来個室で行われるべきものであり、このような集団で一度に行われるべきものではない。もしこのような試験的排泄行為の形式の方が正しいのであれば、試験の机の数のようにトイレを用意して欲
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