試験中の情事/木屋 亞万
をするふりをして、性行為というセクハラワードを口にして、戸惑う女子生徒の反応を見て愉悦に浸る変態豚野郎なのではないか、という疑念がメラメラと湧いてくる。しかし、老人のトンボ眼鏡の奥には真剣そうな2つの目があるのみで、変態性や異常性は見受けられなかった。
鉛筆と机のぶつかり合う硬質な音の雨が、私の背中を激しく打ちつける。突如、私は机の気持ちになったように、快感を覚え始める。皆が真剣に鉛筆の先を私の硬質な背中にこすり付けている。触角はなくても、聴覚がゾクゾクするくらい反応している。日本人の発音する「アイラブユウ」が外人には、私はあなたを擦りますと聞こえるらしい。これはある種のジョークとして、よく
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