魚の声/ブライアン
 
分も黙ったままだった。蛙の声や虫の音も聞こえた。何か言おうとすると、同級生は睨んだ。仕方なく釣竿に意識が集中する。ジッと見つめていると、水面に浮かぶ浮きがグッと沈む。釣竿を強く引き上げる。針には小ぶりなフナが一匹かかっていた。急いでフナを引き寄せると、口から針を引き抜いた。得意げに同級生の顔を見る。すると彼は不機嫌そうな顔をして、魚の鳴き声、もう聞けやしないよ、と言った。もう太陽は沈んだんだから、と。彼は急いで釣竿を片付けようと催促した。最後にかかったフナをビニールの袋に入れる。悲しかった。暗くなりつつある世界が、まるで同級生との距離を引き裂いていくようだった。光がなければ、同級生の顔さえ失われて
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