魚の声/ブライアン
女性たち。夕暮れの景色は穏やかだった。鶴見川の湿気を含んだ空気は親しみを帯びていた。
夕日を反射させる水面を見つめていた。川の流れが波を生み出し、暖色の光は揺れているようだった。魚は鳴くことがあるんだ、と小学時代の同級生は言った。完全に日が落ちる直前の、夕焼けが一番赤い頃に魚は鳴くのだ、と。
緩やかな沼のような河で、フナ釣りをしている時だった。同級生は思い出したようにそう言った。そう言いながら、証拠を差し出すようにして指を口元に持っていき、静かにしろ、というジェスチャーをした。物音は立てなかった。遠くで車の音が聞こえた。カラスの鳴き声。時折、思い出したように鳴く雉の声。それから、何分も
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