「冬のある日」 (リレー小説・三題噺)/佐藤犀星
 
この違和感は。
 受験のせいだろうか。大好きなゲームは何もかも取りあげられて、手元に残ったのは古い携帯機だけ。根を詰めすぎたのかもしれない。すべて勉強のせいだと思うと腹が立ってきて、俺は乱暴にこたつ布団を頭からかぶった。
 そのときだった。
「なんだこいつは!?」(モリ・回目)

「グランシス・G・ルド。それが俺のコードネームだ」
 コタツの中からくぐもった男の声がした。とりあえず握っていた新聞紙でコタツを思いっきり叩いてみた。俗に言う威嚇作戦だ。
 奇声を上げて飛び出してきたのは哀れなほど怯えた表情の外人だった。新聞紙を構えると両手を挙げた。全身黒いスーツをまとって
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