「オルゴール」 (リレー小説・三題噺)/佐藤犀星
 
は少しむっとした顔をした。しかしそこは小さいころからの付き合いで、何か感づいた顔をした。
「は〜ん、何か隠してるでしょ?」
「詮索する人は嫌いよ」
 彼女ははいはい、とオルゴールを私に渡した。私は掌にあまるほどの小さなオルゴールを眺めた。(メコ・1回目)

 その中に入っているのは、ネックレス。私が、幼い時幼馴染と結婚の約束をした時に貰ったもの。オルゴールの中に入れていると、キラキラ、と、煌めいて見えた。小さい頃いつも一緒に遊んでくれたあの人。まだ引きずっているのを知られたくなかった。(波栖・2回目)

あの人はおじい様の部屋にいた。だから、出会いのときを思い返そうとしているのかも
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