君の背中に追いつかない/秋桜優紀
しながら、窓から離れた。
初めから、私にそんな選択肢はない。私がそうすることによって、より深い悲しみを獲得するのは、他ならぬ私の両親なのだから。
私自身がもうしばらくしかもたないと気付いてからは、私が一番大切に思うものたち。親よりも早く死ぬ出来損ないの娘なんかよりも、遥かに尊い存在。そして、そんな出来損ないを生んだ、一番憎らしい存在。その両面を完全に揃えた彼らは、あまりにも愛しい。
私には自ら死を選択する権利すらない。私にはもう、何もない。
気分転換どころか、更に気分が塞ぎ込んできた。目の充血も更に酷くなっているだろう。最近癖になってしまった溜息を吐きつつ更に歩を進めると、何やら騒がしい
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