敬愛する遠藤周作先生への手紙 〜神戸旅行記〜 /服部 剛
 
けて、旅先の夜の車窓をみつめながら、精一杯の思いをこめて、( ありがとう、神戸・・・ )と心の中で、家々の灯に呟いていました。 

 二十三時前に品川駅に着き、駅構内の窓から遠くに東京タワーが光っているのが見えました。品川駅から東京タワーまでの間に灯る東京の街の灯も美しいのですが、旅の時間に見た神戸の街の灯と何かが違うのを僕は感じました。それは街に吹く風の違いなのでしょうか・・・何故か同じ灯でも、神戸の街の無数の灯は、何処か澄んでいて、丸みを帯びているような・・・人の心の哀しみに囁きかけて来るような灯として、思い出されるのです。 

 午前〇時前、地元の大船駅で下車し、今回の旅の終わりと本
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