白光事象/荷花
徨う道はどこにぞある、ここにぞある。
伸べて、手、取りたれば、明けのしじらを辿り往き、見上ぐる此方より彼方。目閉じ開きて在るは、はやさすら、この世のものならぬ根のかたすとかより戻り立ちた君である。
真白き払暁、事象、燃え尽きし熱い灰の上。抱き合い眼を閉じ無音の愉悦に満たされて、見通せぬ明日から今日を無言の内に睡らせるゆえ、どうか、どうか、どうか、どうか。
――真白な、事象、そのゆえに。かれをあいしたのは、わたしだ。
「 お か え り な さ い 」
つぶやく声はわたしと彼の、どちらの声か知らん。
いろと言ういろを失いましろくほほ笑む彼はわたしと手を繋ぎ、まったく鏡に映るもの
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