公園/水町綜助
 
いんだよ」
穏やかな風が吹いて、花びらが公園中に舞った。
「新入社員の若い子たちはいいよ。教えてもらうばっかりだからさ。でも俺はそれじゃ済まない訳だからね」
男は作業服のポケットからレシートの束をつかみ出すと、それを備え付けの灰皿の中にねじ込んだ。
「俺だってこんな事言いたくないんだよ…」

男の語尾を、砂場で遊んでいる四人の子供たちの声がかき消した。
砂で山や川を作って遊んでいる。
小学生に一人だけ幼稚園生の女の子が混じっていた。
その女の子は小さな緑色のバケツを持って、砂に足をとられながらおぼつかない足取りで砂場と公衆トイレを行ったり来たりしていた。
川に流す水を運んでいる
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