少年詩人と老いた戸棚の対話 〜ランボー詩集読書記〜 /服部 剛
 
 今、僕の机の上には「ランボー詩集」(堀口大學訳)
と「地獄の季節」(小林秀雄訳)が置いてある。個人的
には小林秀雄訳が好きだが、作品によっては堀口大學訳
がいいと思う場合もある。同じ詩でも訳者によって大分
印象が変わるものだと改めて思う。 

 ランボーの詩世界のイメージは、心ゆくままに放浪し
ながら夕陽や海の情景から恍惚の世界そのものに覆われ
てゆくような感覚があり、ランボーの「詩的恍惚の世界」
は生きる哀しみさえも越えた歓びの瞬間を垣間見ている
のが「感覚」や「永遠」を読んでいると伝わって来る。
拙い僕の読書量ではあるが、その点にランボーの詩世界
の核心だと現時点で僕
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