文で人に喜んでもらう/K.SATO
ロに置き、燃焼する。豆板醤やみりんを、合間を見て流し込むと香りが充満し、完成が近づいてくる。逆をするのであれば、キッチンをまっさきに飛び出る。向かっていって小さく近づいてきた家の門からも、出る。きらびやかな装飾や声たちのする通りには悩みはないので、立ちつくしているだけでも幸せ。ぶつかったメインストリートには花屋がクロッカスやヒヤシンスなどの色々な香りや色彩の花々を軒先に並べ、シルバーの模様を貼った自動ドアはチリチリとした小玉のぶつかり合う音を拡散し、繊細な髪の毛をぐるっとロールさせたOLたちがどうですヵとささやく真っ白なロングコートでキビキビ行き交っている。僕はそれらのものたちを目や耳で切り抜いて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)