リヨンの月/aidanico
きだよ、こんなもの、本物の葡萄を採って食べたほうがどんなに美味しい知れない」とその遣り取りを終始大層不満げな様子で文句を挟むのでした。それでもツキは軽くあしらうように片頬を上げてホシに向けて表情を崩して見せ、あ、それと折角だからケースに入れてくれ、ついでにリボンは赤で頼むよ、と嬉々として物事を進めていくのでした。そしてホシに「やあ君、奥の小型電子機器のコーナーをご覧よ、欲しがっていたソニーの新しい分じゃないのかい」と宥める様に言うとホシは目を輝かせて丁度三日前に出たばかりの、電子機器というよりかは薄いICカードのようなものに飛びつくのでした。その時きらきらと輝いていた瞳は一瞬にして私に一種ノスタル
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