昨日は孤独な世界?/錯春
 
の缶が放置されていた。
雨が降っても降らなくても、猫餌はぶよぶよとふやけていて、ゲロにそっくりだった。
リマはたまに、その猫餌をこっそり捨てる。
実際に猫餌を補充している誰かと遭遇したことは無かったし、食べている野良猫の姿を見たこともなかったので、捨ててもかまわないだろうと判断したからだ。
彼女は環境愛護の精神でその行為をするのではない。
かといって、チープな動物愛護の精神を非難するためにその行為をするのでもない。

(嫌なんだよね。誰かの親切心が、こうやってぶちゃぶちゃに汚れて腐っていくのを見るのはさ)

彼女は純真と言える。
誰かの傲慢な思いやりは、時がたてば往々にして単な
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