昨日は孤独な世界?/錯春
る)
キヌホは破滅する自分を想像して、樮笑むことが好きだった。
今、彼女のマイブームは、「忘れ去られる自分」を想定すること。
(人は二度死ぬ、一度目は肉体的に、二度目は忘却されて)
使い古されたフレーズだったが、今の彼女の少女らしいレースで編まれた絶望には、おあつらえだった。
(キヌホは、行き場をなくして茅の中を歩いているうちに、なにかを踏みつけて立ち止まる)
(それは、グレーの色褪せたパーカーに包まれた、上腕骨)
(肉が消え失せたそれは、キヌホのスニーカー越しに、湿った温度を伝える)
そこにようやく、少年が到着する。
少年は、キヌホを彼(もしくは彼女だったもの)に会
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