昨日は孤独な世界?/錯春
 
そこ似ていないと会話すらできないことを彼は知っていた。

(部屋の中では、唇をアルファベットの「O」の形に歪ませた女の子が、何らかの後ろめたさによって、男の子のペニスを膣で絞り上げようと、両足をピンと伸ばして脂汗を流していた)

カンスケは口の中のミルキーがいつの間にか消えていることに気付く。
無意識でも、人間は食物を飲み込めることにも、同時に気付く。
空は雲ひとつ無い。
なのに、別段美しいとも思わない。
肌の上ではびたみんでぃーが生成されていく。
要は完璧な悲劇に遭遇できないことが、僕らの悲劇の最たるものだ。

なんて、
ちんけなリアルを呟いて安心できるほど子供ではない。
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