PoorPoor/影山影司
境でのレポートや予期せぬアクシデントには対応できないのでその都度少ないメモリバンクに要領よく記憶を詰め込まなくてはいけない。だからこうやって俺みたいなのがいるって訳だ。
「芦人クン、最近がんばってるねぇ。肩凝ってる?」
ホモっ気があると噂されるヂレクタは、隙を見ては俺を触ろうとする。
「いえ、元気ですよ。仕事ですし」
入ってきた当初は突然のことに固まったものだが、付き合いが長ければ慣れる。
「それより、休憩終わりですね。撮影いきましょう」
ヂレクタはチェ、と口を尖らす。突き出た唇が、生々しい。
撮影が始まれば俺は機材を弄り、ヂレクタはカメラマンになる。
カメラに写
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)